gulienの日常174。

  • 2022年12月2日
  • カテゴリー:ブログ

今回は「gulienの日常。」です。

前回の投稿で今まで僕と一緒に修行してくれていた相棒のKAMAKAが入院レベルの負傷をしてしまった事に触れました。今回はそのエピソードについて綴りたいと思います。

彼との出会いは10年前、僕が独立する前に講師として在籍していた教室で半ば強制的にウクレレ講師も始める事に端を発します。初号機はpupukeoというブランドのソプラノウクレレを買ったのですが、そのブランドは国産ギターメーカーとして有名なFUJIGENのものだからなのか、ソプラノウクレレのくせに19(!!)フレットと多いのですね。そうなるとフレットの間隔が狭い!!これは当時ギターしか弾いたことのない僕にとってはなかなかのストレスだったので、コンサートサイズを購入することにしました。

最初は予算8万円くらい(限界10万円まで)で探していて、山野楽器さんで何本か試させて頂いたのですが、なんとなくKAMAKAも弾かせて頂いたわけですよ………するとどうですか!納得!!キング・オブ・ウクレレは伊達じゃない!!「コレ、欲っっっしいーーーたっっっけーーーーー(高い)!!」と、音の良さとそれに比例する値段の高さに驚かされ自問自答した挙句、思い切って連れて帰ったあの日から10年。ウクレレ初心者だった頃から僕の修行に付き合わされ共に傷だらけになりながら戦ってくれた彼を先日、山野楽器さんに連れて行きました。

先ず、メインのクラックを見てもらって、それからウクレレの事をよく知らない時期にギターのようにサウンドホールに近い部分でストロークしていた為、その部分の指板の縁が削れてフレットのバリが出てしまっていたのでついでにはみ出した部分も削って頂くことをお願いしました。他にもブリッジの両サイドの接着に隙間ができてしまっているとご指摘頂いたのでそれも治療内容に追加…………長期の入院が決定しました。

コレを機に新しくメンバーを迎え入れる事は既に決めている事を相談したら、今までの相棒と同程度のものを何本か他店や倉庫から取り寄せると仰って頂き三日後にご連絡頂きました(仕事が早い!!感謝!!)。

後日、試奏しに再びお邪魔しました。
最初に気になっていたMARTINを試しましたが「ん?全然ウクレレらしくないぞ。コレはこれで面白いけど、ウクレレを何本も持っているうちの1本ならいいけどKAMAKAとのツートップは無理だな。」と早々に候補から消えました。

次に今まで共に戦ってくれたKAMAKAと同じ品番のHF-2の新品を弾かせて頂き驚きました。「全然鳴らない!!赤ちゃん!!」新品のギターやウクレレが鳴らないことは知ってはいましたが、流石に直に同じ物を比べた事はなかったのでその差に戸惑い、思わず入院させるために連れてきた相棒をケースから引っ張り出して弾き比べてしまいました。
その様子を見ていた副店長の鏡谷さんから『先生のお持ちのその子と比べたらダメですよ。そちらは歴戦の猛者なので、今回は有望な新人を迎え入れるつもりでご検討頂かないと見つからないですよ(笑)。』と貴重なご意見を頂き目が覚めました。

再びケースに戻された相棒を見て、とある感慨が湧いてきました。

—————————そうか……………10年やって来たんだなこいつと一緒に。いつも一緒にいたから気づかなかったけど、YOUは楽器として滅茶苦茶イカした奴に成長してたんだな。思えば予算オーバーしていたのに連れて帰ると決めた時、同時にこれからはウクレレもしっかり勉強していく人生が始まったんだよな。そんな覚悟をもたらしてくれた存在だったな。

さて、いつまでも感傷に浸っていられる時間はないので、最後の1本。KAMAKAと並ぶ有名メーカーKOALOHAを試奏。
「うん!KOALOHAだ(笑)。最初から良く鳴る!!知ってた!!」でもなんか釈然としない………。KOALOHAのこの上なく澄み切った音色は非常に惹かれるものあるけど、どこかクラシックギター弾いてる感覚に近くてKAMAKAのような“ハワイ感”が最初にガツンと来ないからか…………ってことは、僕はギターも弾くのでウクレレに求めているのは“ハワイ感”なんだ!!と気がつきました。

謎が解けたのはいいけどイマイチ決断出来ずにいると再び鏡谷さんが助言してくれました。
『先生のように魂の一本をお持ちの場合、それを超える物を見つけるのは難しいですよ。この子をここまでの楽器に育てられたのは途中でアレコレ手を出す必要が無かったからでしょうし、であれば今回のように新たにメンバーに加える事を決められている場合、今までのとは違うタイプの一流メーカーのものを同じように育てて頂く事でまた新たな境地を見つけられるのではないでしょうか。』

「ですよね(笑)。そう。まとめるとそういう事ですね。今決めました。コレにします。」

『ありがとうございます。僕が先生の立場でも同じ選択をする思います。こちらの商品は自信を持ってお勧め出来ます(笑)。』

鏡谷さんやるな〜。僕のいい感じにエイジングされたKAMAKAを見て、会話を通して僕がどういう価値観で楽器を選んでいるかを汲み取って、同じ購入するにしても気持ちよく購入出来る様に最後にそっと背中を押してくれて。この方に担当して頂けて良かった!!
こういう信頼出来る店員さんから楽器は買うべきです!!皆さんも何かお探しの時は僕に相談して下さいね。ワンタッチで鏡谷さんにつなぎますので!!

 

今回のKOALOHA購入を通して、楽器の購入は消費ではなく体験だという事を改めて学びました。
痛い出費ではありましたが、相棒が素晴らしい成長をしてくれていた事と自分の価値観を知れた事、これまでの10年間を整理するきっかけになった事。総じて良い体験が出来ました。
10年前にKAMAKAに決断していなかったら今回KOALOHAと出会うことは無かったので、過去と現在は繋がっていて、それは今回も同様、次の10年に繋がっていく明るい未来を予感させてくれる出会いとなりました!!

文章ばかりじゃアレなので弾き比べてみましょう。
KAMAKAでカイマナ・ヒラ

KOALOHAでカイマナ・ヒラ

う〜ん……やっぱり“ハワイ感”(歯切れの良さというか軽快さ)は新品ってのもありますが足りないでね。なんかモコモコする!!

使い分けてみましょう。
KAMAKAで「Raindrops Keep Fallin’ On My Head」

KOALOHAで「Raindrops Keep Fallin’ On My Head」

こういうのはアリですね!!澄んだ音色が活かされるような曲調の場合はもうちょっと使い込んでいけばむしろこっちの方が良いかもと期待を持たせてくれます(弾き方が楽器に合わせられていないのは要改善!!)。

さてさて、また新たの旅の始まりです!!新相棒の手を借りて今まで見たことのない景色を見るための修行を頑張っていきたいと思います!!!!