gulienの日常88。

  • 2018年03月23日
  • カテゴリー:ブログ

本日は「gulien の日常。」です。

3月は別れの季節。
先日、4年間通ってくれていた大学生が就職を機に退会されました。大学のバンドサークルも終わりという事で「卒業」と言って良いのではないでしょうか。

連勤も100日を超えて人の心を無くしかけていた(笑)頃だったのですが、流石に込み上げるものがありました。

4年前、グリエンを始める前の業務委託で行っていた教室に体験レッスンを申し込んでくれた事がきっかけで始まったご縁ですが、その時の電話の声が異常に小さくて全然聞こえず、スケジューリングも上手くいかず、困った僕が一か八か「本日の一時間後で宜しければ空いておりますが……………」と半ば投げやりに提案してみたら、『あ…………ハイ。お願いします…………。』と返ってきて、心の中で「来るんかい!?(そんな瞬発力がある人には全く思えなかったので)」と突っ込んだ事を今だに覚えております。

1時間後やってきた彼女は、如何にも「箱入りお嬢様」と言った雰囲気でした。
体験レッスン中も1m弱の距離で向き合っているのに耳を澄まして近ずかなければ何言っているか全然聞こえないし、リアクションを見ながら進めたい僕を拒絶するかのように俯いて、決して目を合わさず無表情を貫き通していました。
全く手応えを感じないまま1時間が過ぎ、一応形式的に「どうされますか?ギター始めてみますか?」と尋ねると、俯いたまま小さく頷いて相変わらず聞き取れない音量で『ハイ…………』。

—————————————やるんかい!?(もしかしたらこれは実際言ったかも知れません(笑))静から動への移行が全くのノーモーションでよく分からん!!!!大丈夫かな……………こんな(文字通り)物静かな子がギター続けられるのかな?

と、心配100%で始まった彼女のレッスン。
別室にいた他の講師がいきなり覗きにきて何かを確認して去って行くので、レッスン終了後確認すると『太田さんが一人で喋っているのかと思いました。頭おかしくなっちゃったのかな?って心配して見に行っちゃいました(笑)。生徒さんいたんですね!!』なんて事もこれまで何度もありました(笑)。

それでも強引に日常会話で最近の事情をよく聞くようにして、必要があれば「ゆとり世代」がドン引きするような熱量の言葉を投げつけ(女子大生でもお構いなしで男気注入!!)続けていたら少しずつ笑うようになってきて、音量も上がり自分の事を話すようになってくれました。

恐らく、良いとこのお嬢さんである彼女にとっても僕はこれまで出会ったことのないイレギュラーな存在だったと思います。そんな希少種との出会いが彼女の今後の人生に役立つものになるよう、僕らしく一人の人間として接してきましたし、ギターを武器(きっかけ)に大学で居場所を見つけ、そこで同級生・先輩・後輩の中で色んな事を学んでかけがえのない青春時代を過ごし、社会に出てもやっていける力を身につけて欲しいと願い、ギターという武器の攻撃力を上げるレッスンしてまいりました。

最後のレッスンの日。
マイギターを背負い、エフェクターケースと紙袋を二つという大荷物でヘトヘトになって現れました。聞けば朝9時から3時間バンド練習(売れっ子の彼女は卒業ライブで3つバンドを掛け持ちしているので)して、ギターとエフェクター(合わせて10kg)を持ったまま新宿で買い物してから14時のレッスンに来たとの事。

—————————————相変わらず、突然予想外のバイタリティーを発揮する人だな……………。

もう慣れているのでそこは流して、以前から用意しておいた就職祝いのちょっとイイ多機能ボールペンとハンカチをプレゼントしたら、驚いてこれまた相変わらず小さな声で『ありがとうございます』と受け取って、ニコニコしながら紙袋の一つを差し出して来ました。

『コレ………。今までお世話になりました。ありがとうございました(笑)』と照れながら花をプレゼントしてくれました。

IMG_0508一緒に手紙が添えられていて、
『サークルを続けてこれたのは先生のお陰です。ギター以外にも色々と相談に乗って下さって感謝しています。いつも楽しいレッスンでした。』と自分の気持ちを綴ってくれていました。

—————————————マジか〜〜〜…………ちゃんと伝わっていたのか〜い。信じてはいたけど、伝わるのはもっと先になると思ってた………………さっきはスルーしてスンマセン。

彼女のお心遣いで頂いたフローランドはレッスンサイボーグになりかけていた僕の心を満たしてくれました。
今はグリエンの玄関を春らしく彩ってくれています。IMG_0509

最後、ドアの外で可愛らしくニコニコ笑いながら感謝とお別れの言葉を言う彼女を見て、4年前の能面のような無表情な顔で無言のまま会釈するのが精一杯だった出会いを思い出し、ギターを頑張ったことで仲間と出会い、素敵な時間を過ごした事が伝わってきて嬉しかったです。青春っていいな〜〜〜(笑)!!

理念を地道に貫くことは本当に大変なことですが、旅立つ若者にまた一つ財産を頂いた出来事でした!!!!